北朝鮮を語りながら中国を見ていたバイデン大統領、米韓首脳会談の内幕ワシントンで首脳会談を行った文在寅大統領とバイデン大統領。米韓首脳会談では「良好な関係」が演出されたが、米国が意識したのは中国だった Photo:Anna Moneymaker/gettyimages

中国を意識し周到な準備
「良好な米韓関係」を演出

 米国のバイデン大統領と韓国の文在寅大統領が21日午後(現地時間)、ワシントンで首脳会談を行った。

 バイデン氏が対面で迎えた首脳は菅義偉首相に次いで文氏が2人目だ。米韓両首脳は、共同声明や共同記者会見を通じ、外交によって北朝鮮核問題の解決を目指すとし、新技術や気候変動問題などさまざま分野での協力を確認した。

 今回の会談を通じて浮かび上がったのが、米国によって周到に練られた良好な米韓関係の演出だった。

 米韓の蜜月ぶりを見せたかった相手は中国だ。

 断絶状態の北朝鮮との対話再開を進めたい文大統領の思いもあって北朝鮮問題が会談の主要議題だったことは間違いないが、米国の本当の意図は別にあった。

「中国包囲網」作りで
韓国を引き寄せる思惑

 会談前からの事務レベルでの非公式協議も含めて目立ったのは、中国を意識し韓国を自らの側に引き寄せるための米国側の周到な戦略だ。

 米下院が19日に発議した文大統領の訪米歓迎決議には、「米韓同盟は北東アジアとインド太平洋地域の平和と安保、安全を保障する核心軸(linchpin)」、「共通の理解と価値を基盤にした鉄桶(Iron clad)のような関係」という文句が並んだ。