また、旧態依然としたスキーマにいつまでも縛られていると、「時代遅れ」との批判にもさらされてしまいます。「男尊女卑」のようなスキーマを持っている人がいまだにいますが、女性の社会進出が進む現代には、明らかにふさわしくないスキーマです。「女性の話は長い」と発言した森喜朗元首相のように、即刻、社会的地位を失いかねません。

 スキーマはいわば、情報処理の「型」です。型があるから、あれこれと迷わず、すばやく答えが出せるというのがスキーマの利点ですが、その「型」が硬直化し、ほかの答えが出せなくなると、時代の変化にもついていけないのです。

 では私たちはスキーマとどう付き合っていけばいいのでしょう。そこで思い出されるのが「ファジーコンピュータ」です。0か1かしか扱えなかったそれまでのコンピュータとは違い、0か1かでは割り切れない、数値化しにくい曖昧な表現を扱うことのできるコンピュータとして、登場したころは大きな話題となりました。

 人間もファジーコンピュータのように、答えを白か黒か決めつけず、あれもある、これもあるというふうに「ファジーな答えも出せる」というのが理想です。ITの時代からAIの時代に移り変わり、それはますます必要になってくる考え方だと私は思います。

 ITの時代は、人間がITに合わせる必要がありました。つまり人間がITの使い方を学ばないといけない。AIの時代はその逆です。AIのほうが人間に合わせてくれるのです。人間がうまくオペレーティングできなくても、AIが人間のニーズをくみ取り、レコメンドしてくれます。