新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で空の旅ができなくなった後、世界各地の保管施設に駐機された膨大な数の航空機の多くは、スクラップの山となる運命かと思われていた。だが、そうした事態は起きていない。むしろ、パンデミック前よりも航空機所有者による機材の解体は減っているのだ。航空関連分析会社シリウムによると、2020年に解体された大型商用ジェット旅客機は約440機で、前年比で約15%減少した。シリウムのグローバルコンサルティング部門責任者、ロブ・モリス氏は、今年これまでに解体されている航空機の数は、昨年を約30%下回っていると述べている。解体ペースが鈍っていることは、航空会社が新型コロナのパンデミックから脱却しようする中で直面している課題を浮き彫りにしている。一部の市場では、国内旅行は海外旅行よりも早く回復しているが、回復ペースは地域によって異なるため、航空会社は迅速に増便できる体制を維持しておく必要がある。新型機を導入する余裕がない航空会社が、古い型をより長く使用する必要に迫られているという事情もある。