足元のインフレ急上昇を受けて、米連邦準備制度理事会(FRB)にとっては、来週の連邦公開市場委員会(FOMC)で、新型コロナウイルス危機への対処で導入した金融緩和の解除に向けた議論を始めるべき理由がさらに増えそうだ。エコノミストの間では、FRBが雇用回復の支援に注力する中で、インフレに関して後手に回りかねないとの懸念が高まっている。実際に対応が遅れれば、エコノミストや市場参加者が現時点で想定している以上に急激な金融引き締めを余儀なくされる恐れがある。その結果、経済に打撃を与え、市場の混乱を招くことにもなりかねない。ドナルド・コーン元FRB副議長は「現在のインフレの強度、およびサプライチェーン(供給網)と労働市場の制約は想定を上回る」と指摘する。ただ、インフレの高進は一時的とのFRBの見方になお同意するという。「しかし、基調的な需給バランスの不均衡が、私やFRBがこれまで考えていたほど迅速、または円滑に解消されないこともあり得る。それが私のインフレのアンテナを振動させている」