税務署は「ここ」を見ている!
この答えはNO。住民票だけ一緒でも、同居していた実態がなければ特例は使えません。裏を返せば、住民票が別でも、同居していた実態があれば、特例は使えます。税金の世界は実態がすべてなのです。
「税務署の人は本当に同居していたかどうかなんて調べられるの?」と思う方も多いでしょう。実は、調べることはできるのです。
もしも、相続税の税務調査に選ばれてしまった場合、同居の実態があったかどうかを徹底的に調べられます。例えば、同居していた人の通勤定期の区間(親と同居していたなら、その最寄り駅と勤め先の区間でないとおかしい)や、水道光熱費の推移(同居を開始した前後の月で使用量の変動がないのはおかしい)、極めつけは近隣住民への聞き込みも行われることがあります。
基本的に、プロ中のプロである調査官の目を欺くことはできないと考えてください。
配偶者も同居している親族もいなかったら?
特例が使える幻の3人目を紹介します。本来、小規模宅地等の特例は配偶者か同居している親族が自宅を相続すると8割引きになります。しかし、もしも配偶者も同居している相続人もいない場合には特別に、3年以上借家暮らしをしていた親族が相続しても8割引きになります。
この取り扱いのことを税理士業界の中では、家なき子特例と呼んでいます。ここでいう「借家暮らし」とは、基本的には第三者が家主である、純粋な借家のことを指します。自分の義理の父が所有する家屋を借りている場合や、自身で経営している法人の社宅に住んでいるような場合には、該当しません。
家なき子特例を使う場合には、「相続開始後、その相続した家に引っ越さなければいけない」という条件はありませんが、「申告期限まで売却してはいけない」という条件はあります。
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