『独学大全──絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』が20万部を突破! 本書には東京大学教授の柳川範之氏が「著者の知識が圧倒的」、独立研究者の山口周氏も「この本、とても面白いです」と推薦文を寄せ、ビジネスマンから大学生まで多くの人がSNSで勉強法を公開するなど、話題になっています。
この連載では、著者の読書猿さんが「勉強が続かない」「やる気が出ない」「目標の立て方がわからない」「受験に受かりたい」「英語を学び直したい」……などなど、「具体的な悩み」に回答。今日から役立ち、一生使える方法を紹介していきます。
※質問は、著者の「マシュマロ」宛てにいただいたものを元に、加筆・修正しています。読書猿さんのマシュマロはこちら
[質問]
就職について悩んでいます。自分にアピールできるようなことが何一つありません
私は今まで特に何もしていない、スキルもアピールできるようなところも何も無い無能クズです。
そう気づくのが遅く、現在はなにもかもが手遅れであるような気がしています。
社会に受け入れられたい気持ちがあるのですが、企業側は、会社を存続させることができる利益を生み出せる人やメリットのある人物を入社させたいということはイメージしています。
しかし、そう思うと自分は、どの分野においても、なにひとつ価値を提供できるようなことが「思いつかず、手が止まってしまっています。
このような状態から脱したいという気持ちはあるのですが、どう動けばよいのかわかりません。
自分で考えることもできずこのように質問を送っていることをお許しください。
相手が見ているのは「あなたが地雷でないか」だけです
[読書猿の回答]
新卒採用の場合、面接で語れと言われるアピールポイントは、その人がどんな価値を生み出せるかとあまり関係がありません。第一、独カで価値を生み出せ、自分でそれを知ってる人なら自分で起業するでしょう。
ひどい言い方ですが、企業は、独力では価値を生み出せない人たちの寄り合いです。できないことを補い合い、できることを寄せ合って価値を生み出すという、社会生活するという生物であることをベースにヒトが歴史(失敗と克服の繰り返し)の中で開発した知恵のひとつです。
営利企業は、利益を出さなければ消えるしかありませんが、組織として存続できなければ、利益を出しようがありません。
したがって面接する側が知りたいのは、最低限、「応募者が社畜になれるかどうか」、もっとぶっちゃければ、「採用したら害をなすような地雷新人かどうか」です。
人事担当者は、応募者が本当はどんな人間か知りたいと思っています。しかし多くの人事担当はそのノウハウを特に持っていません(就職斡旋企業が興隆する所以です)。なので応募者をいろんな状況において観察します。面接はその一つです。
即戦力を求める中途採用とちがって、新卒採用で経験を尋ねても、多くは留学したとかサークル頑張ったとかどうでもいい経験しか出てきません。なので、何の能力も経験もない人にも話しやすいよう、アピールポイントなるふわっとしたものを尋ねるのです。