太陽光パネルは、気候変動対策に欠かせない要素だが、米国ではほとんど製造されていない。政府から補助金を支給された中国メーカーが市場を支配しているためだ。米アリゾナ州テンピに本社を置くファースト・ソーラーは、この現状を変えようとしている。同社はオハイオ州に6億8000万ドル(約754億円)でパネル工場を新設することを決めた。米政府が支援してくれるとの確信からだ。ジョー・バイデン米大統領は2035年までに国内電力網の二酸化炭素(CO2)排出量をゼロにする計画を掲げているほか、生産の国内回帰(リショアリング)によって雇用を創出し、不可欠とみなす産業を強化することを主張している。長年にわたって衰退してきた米国の脆弱(ぜいじゃく)な太陽光発電業界は、そうした政策が好転の契機になることを期待している。