ラフマトさんはアフガニスタンの辺境地で約10年、米中央情報局(CIA)の極秘任務を遂行し、タリバンを偵察した。それを証明する契約書はなく、CIAの監督者の本名も知らされていない。米国が9月11日までにアフガンから駐留米軍を完全撤収する準備を進める今、米国のために働いた何千人ものアフガン人が反政府勢力タリバンから報復されるリスクにさらされている。「任務は極秘だったため、彼らは何も与えてくれなかった」。ウエーブのかかった黒髪できゃしゃな体つきのラフマトさんは、自分の人生を左右したCIA職員の名前を小さな声で挙げた。「一人はサントス。メアリー、ジェーソン、スチュ、ジョン」ラフマトさんの話は、アフガン人、特に諜報(ちょうほう)に携わった人たちが、「特別移民ビザ(SIV)」を申請する上で直面するハードルの高さを象徴している。SIVは、米政府のために働いた人を米国に移住させることを目的とした制度。契約番号や証明書、監督者の名前や住所などの詳細が必要とされる。