十数分後に、2人の警官に両脇を固められ、野太いしゃがれた声でわめき散らすくるみさんがマンションから出てきました。そして、くるみさんはパトカーに押し込められ、パトカーで連れられて行きました。

 妹は別の警官と出てきて、状況の説明をしているようでした。

 その直後に救急車が入ってきて、救急隊員はマンションから全身血だらけになった男性を担架に乗せて、どこかの病院に向かったようでした。

 この慌ただしすぎる状況を、なるべく分かりやすく上野さんに伝えました。

 すると上野さんは「出ましたか!! ありがとうございます!! 撮影できましたか?」と興奮気味にまくし立てるのです。一応、一通りは撮影していたことを伝えると、上野さんは「やったー!これで離婚できる!!!!」と叫ぶので、どういうことか確認しました。

依頼者の悩みは
妻の浮気ではなく…

 実は上野さんは、くるみさんの浮気に苦しんでいたわけではなく、くるみさんの暴力に苦しんでいたそうなのです。

 ある時、仕事を終えて帰宅すると、いつもなら晩ご飯の支度をしているはずのくるみさんの姿はキッチンにはなく、真っ暗なリビングに座っていたそうです。

 そして電気をつけるとくるみさんは、今まで聞いたことのない、しゃがれた野太い声で「そこに座れ!」と怒鳴ったのです。状況が分からずとりあえず座ると、くるみさんは「ワシは長州のかずおだ!」と訳のわからない自己紹介をした後に、「ワシはくるみの中に10年いるが、お前のせいでストレスがたまっている! なんとかしてやれ! くるみはお前とのセックスでは満足していない! 風俗で働かせてやれ! 明日からだ!」とわめき散らして、殴る蹴るの暴行を1時間以上続けたそうです。