私が再び故郷・香港に行けるかどうかは分からない。もし行けば、その際には逮捕されるかもしれない。中国共産党は香港を奪い取り、先週には香港当局が、民主派の日刊紙「蘋果日報」を廃刊に追い込むことに成功した。当局は、香港で何が起きているかを世界に伝えることは国家の安全を脅かす行為、すなわち終身刑にも値する犯罪になるとの考えを示している。私はおびえている。共犯者だからだ。私は2020年5月から蘋果日報の論説とオピニオン記事を中国語から英語に翻訳する小規模なチームを率いてきた。同紙の記事を世界の読者に伝えるのがその目的だった。昨年8月、200人の警察官が蘋果日報の編集部を捜索し、同紙の創業者である黎智英(ジミー・ライ)氏を、手錠をかけた状態で連れ去った。黎氏は現在、2019年の民主派の抗議行動で果たした役割を理由に収監されている。同氏はまた、香港国家安全維持法(国安法)に違反した罪にも問われている。同法は、批判勢力の声を封じる目的で中国政府が利用しているものだ。6月18日には警察当局が、編集長を含む同紙の経営・編集幹部5人を、国安法違反の疑いで逮捕した。そして6月23日には、同紙の社説「China Beat」の執筆者である楊清奇氏が警察に逮捕された。同氏は「李平」のペンネームを使っている。
【寄稿】リンゴ日報の記事翻訳者、恐怖を語る
香港に帰れる日は来るのか 国安法の下で新聞は廃刊、同僚は逮捕された
有料会員限定
あなたにおすすめ