レビュー
管理職に打診された――。昇進はこれまでの仕事ぶりを評価された証であり、喜ばしいことである。しかし「女性は嬉しさよりも、戸惑いや不安をより感じる傾向がある」と著者はいう。
要約者自身の経験を振り返っても、まさにその通りであった。前職でマネージャーになった当初は、プレッシャーと不安で押しつぶされそうになりながら、右往左往していたように思う。
また特に女性の場合、プライベートと仕事を完全に切り離して考えることは困難といえる。出産・子育てを行う場合は一度ブランクが空く可能性が高い。仕事との両立がどれほど大変かわからないため、管理職に踏み出すときには相当な勇気がいる。周囲の協力は得られるのか。保育園をスムーズに利用できるのか、と心配はつきない。
著者は、「管理職1年生」の女性や管理職の壁にぶち当たって自信をなくしかけている女性に向けて、あたたかいエールを送る。自身もかつて管理職として悩み、葛藤した経験をもつ。そうした経験と長年のコーチング経験をもとに、女性管理職の悩みとその対処法を丁寧に紹介している。
日本では女性管理職はまだまだ少数である。それゆえ周囲に相談できる人や、目指すべきロールモデルがいないというケースもあるだろう。本書『女性管理職の教科書 仕事にも人生にも自信がもてる!』はそんな方にとって心強い「教科書」になってくれるだろう。「もっと早く出合いたかった」と思える一冊だ。(矢羽野晶子)