人の性格や強みはそれぞれで、その人に合ったリーダーシップのスタイルがある。40年にわたりリーダーシップ研究をしている心理学者のドナルド・O・クリフトンによると、すぐれたリーダーの共通項は、自分の強みを正確に把握していることであり、リーダーを定義する決定的な特質はないという。

 著者はどちらかというと、「部下に助けてもらう」タイプのリーダーである。誰もがカリスマリーダーになる必要はない。自分なりのリーダーシップを見つけることが大切である。

◇プライベートは諦めないといけない?

 ある程度キャリアを重ね、管理職への声がかかりやすくなる年齢は、結婚・出産・子育てというライフイベントを考える時期である。なかでも妊娠・出産には適齢期(出産可能年齢)があるため、管理職のオファーを断ろうという気持ちも理解できる。子育ての大変さがわからないために、不安に拍車がかかってしまう。

 しかし、仕事とプライベートの両立に迷っている人に対して、著者は「やってみたら?」と背中を押す。両立できるかどうかは、本人のやり方次第の部分も大きいからだ。

 管理職になったからといって仕事が増えるとは限らない。むしろ自分でコントロールできる範囲が増える。ある子育て中の管理職の女性は、「夕方以降の会議はしない」ことをチームのルールにした。部下にとっては定時退社できるメリットもあり、チーム内では特に問題にならなかった。

 管理職になると、実務は部下に割り振ることができる。管理職の仕事は、チームの目標達成や問題の対処法を考え、顧客や部下にフォローすることである。「考えなければならないこと」が増える一方、「作業量」は減る。そのため、必ずしもプライベートを犠牲にするほど長時間労働になるわけではない。

 さらには昇進すると給料も上がる。そのため、「家事効率のために家電を買う」「シッターを雇う」といったことも可能となる。管理職の方が子育てと両立しやすい側面がある。

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◇管理職に求められる役割とは

 管理職になりたての頃は、「自分の仕事って何だろう?」と不安になる人が多い。部下に実務を割り振ることで、ぽっかりできた「空き時間」に戸惑ってしまうのだ。自分が作業をしていないことから、サボっているような感覚に陥る人もいる。

 このような不安から、「実務をガンガンこなして、部下に仕事を渡さない人」と、「部下に仕事を渡してしまい、関与をしない人」の両極に分かれる傾向がある。著者の経験上、女性には前者のタイプが多い印象がある。