低コストかつ低リスクで作れるクリームソーダは、数あるノンアルコールドリンクのなかでも居酒屋メニューとしてうってつけというわけだ。

 さらにクリームソーダは、「見た目」にもコロナ禍で居酒屋メニューに躍り出るにふさわしい特長がある。

「『居酒屋系クリームソーダ』がはやる以前から、クリームソーダはフォトジェニックな食べ物として注目を集めていました。居酒屋で出されるクリームソーダはビールジョッキやワイングラスに入ったユニークな見た目で、通常のクリームソーダよりもインパクトが強い。そのため居酒屋メニューでありながらお客さんが積極的に写真を撮り、SNSにアップしてくれるわけです。容器に店のロゴをプリントしている居酒屋も多いため、宣伝効果は高いでしょう」

 いわゆる“映える”メニューを用意しSNSで拡散してもらうという手段は、今や多くの店が行っている販促活動だ。しかも居酒屋系クリームソーダには、単なる宣伝以上に別の狙いがあるという。

「クリームソーダ自体が来店動機になるというよりは、『コロナ禍でも店が営業していること』を知ってもらう狙いがあります。すると、常連客であれば『なじみの店が工夫して頑張っている』と思ってもらえるし、一見さんでも『近所に頑張っている店があるみたいだから助けに行こう』と思ってもらえるのです」

 コロナ禍で居酒屋の勢いが衰えている今、SNSでクリームソーダが拡散されることで店の存在が多くの人の目に触れ、忘れないでもらうきっかけとなるのだ。

アフターコロナでも
居酒屋の定番メニューに

 コロナ禍で爆発的に増えている居酒屋系クリームソーダだが、コロナの感染拡大が収まった後、どのような未来をたどるのだろうか。小島氏は「居酒屋文化の一つとして残っていくのでは」と考察する。

「先ほども話した通り日本人のアルコール離れが進んでいるので、ノンアルコールドリンクを置く居酒屋は増えるでしょう。クリームソーダは、材料費は安いのに宣伝効果は高いですからね。たとえば店頭に『クリームソーダあります』と書いてある店は、『下戸向けのメニューも充実しているのかも』と思ってもらえる効果があります」