「一つは、やはりコロナの感染拡大防止策として酒類の提供ができなくなったためです。代替案としてクリームソーダが登場したわけですが、炭酸飲料は飲酒している気分を感じやすいので、お酒の代わりとして適しているといえます」(小島氏、以下同)

 もう一つの理由は、コロナ前から進む日本人の「アルコール離れ」だ。

「アルコール離れが進んでいる現状を受け、居酒屋業界ではかねてノンアルコールドリンクを充実させていこうという流れがありました。コロナ禍で酒類の提供ができなくなり、その傾向が加速したためにクリームソーダが流行しているのだと思います」

 実際、コロナ禍以降にクリームソーダをはじめとするノンアルコールドリンクの販売を始めた店は、感染が拡大するなかでも売り上げ減を小さく抑えられているという。

「酒類の販売で稼いでいた売り上げには及びませんが、これまでドリンク比率が25%ほどだったのを、クリームソーダなどを販売し15%ほどの落ち込みにとどめているようです。もしクリームソーダがなければ、ドリンク比率は5~10%まで下がっていたのではないでしょうか。これは肌感覚ですが、都内の7割程度の居酒屋で、クリームソーダをはじめとするノンアルコールドリンクの充実に注力する流れがきていると感じます」

低リスクで低コスト
さらに宣伝効果も

 そのほかにも、クリームソーダには多くの居酒屋が取り扱いたくなるメリットがあるという。

「店にある材料のみで作れるという手軽さは、大きな利点でしょう。クリームソーダは、炭酸飲料、氷、アイスクリームがあれば作れますが、これらの材料は大抵の居酒屋に在庫があるはずです。今、確実な売り上げが見込めるか分からない新商品のために、新たに材料を仕入れるのはかなりリスキーですからね」