米通商代表部(USTR)のキャサリン・タイ代表Photo:Pool/gettyimages

 米バイデン政権は世界の同盟諸国との関係改善を積極的に進める意向を示しており、アジア諸国との貿易関係はそれを証明する良い機会になる。かなり以前から存在している環太平洋経済連携協定(TPP)などの包括的枠組みは、悲しいことにワシントンでは政治的に死語になっているように見受けられる。しかし、デジタル貿易という分野では、米国が主導権を握る新たな機会が生まれている。

 特にアジアでは、デジタル貿易に関する枠組みの経済的利益は明らかだ。より多くの商取引がデジタルで行われるようになっており、データ関連の規則やプライバシー面のルールが、これまでの関税や割当制度に代わる貿易障壁になっている。ハイテク分野の製品・サービスの貿易活性化には、データが蓄積される場所や、国境を越えたデータの移動に関する確実性が必要だ。人工知能(AI)などの分野の規則も貿易問題として浮上してくる。