コンテナ船「中国デカップリング」など、経済安全保障の名の下に貿易や投資を制限する動きが広がりますが、自由貿易を逆戻りさせる懸念がある(写真はイメージです) Photo:PIXTA

バイデン政権100日
通商政策の“転換”進む

 バイデン政権が発足してから約100日が経過した。

 基本的にトランプ前政権の政策をひっくり返すことから始めている新大統領だが、「最も重大な競争相手」と位置付ける中国に関しては、トランプ時代に実施された措置にあまり手を付けていない。

 むしろ貿易や投資を制限し中国を分離(デカップリング)しようとする動きは強まっているようにみえる。

「安全保障上の利益は自由貿易の価値よりも優先される」という考え方が継承されているといっていい。

「安全保障条項」の活用で
中国切り離しさらに強まる

 象徴的な例は、トランプ政権時代の2018年に発動された通商拡大法232条の措置を継続していることだろう。

 これは「輸入増加が米国の安全を脅かす」と米政府が判断した場合、当該品目に高関税をかけられるという条項だ。