中途採用に力を入れる大企業
その背景は?
大企業における中途採用の動向は、少し前とはだいぶ変化してきた印象があります。中途採用に積極的な企業が増加しているのです。
その内容をじっくり見ていると、新しい時代に対応するための打ち手に人材が必要である一方、社内では育っていない、あるいは育てられていない職種の採用が多くを占めます。
例えば、自動車会社がモーターの専門家を求める、デパートが地域を一体開発するために不動産経験者を採用するといったケースがあります。もちろんDX(デジタルトランスフォーメーション)はどの企業でも重要な課題になっているので、DX人材の引き合いは非常に強いです。
また、女性管理職を積極的に採用する傾向も見られます。男女雇用機会均等法で性別を理由とする差別は禁止されているので、公に性別で募集はかけませんが、組織の男女比率を是正する目的で女性管理職の候補者を歓迎しているのです。これも社内で育っていない、あるいは育てられない人材の中途採用と見ることができます。
社員が流出している企業では、欠員補充のための中途採用も発生しています。要は、大企業では一人前になり責任ある仕事を任せられるまで時間がかかる企業も少なくないため、待ちくたびれた社員が流出し、その分を補充しなければいけなくなるわけです。
商社から若手社員が流出していると報じられていますが、そうした業種では欠員補充の中途採用に動きます。就職人気の高い商社のような企業では、少し前ならあまり見られなかった動向で、4~5年くらい前から始まった変化だと思います。