コロナ禍で皆さんの営業は、どのように変化しましたか?「直接面会できない」「商品・サービスを見せられない(伝えられない)」「相手先の会社や個人の雰囲気・空気がつかめない」「直接相手を訪ねていくことで示せていた誠意が伝わらない」など、これまでの方法ではうまくいかず、悩んでいた時期もあるでしょう。しかし、その反面、営業成績が落ちるどころか、伸ばしている人がいることも承知のはず。何が違うのでしょうか。その違いは、すでに7年読み継がれている本書『「3つの言葉」だけで売上が伸びる質問型営業』で明かされています。そして、オンライン営業のスキルを加えてパワーアップしたのが、『[新版]「3つの言葉」だけで売上が伸びる質問型営業』。本書よりいつの時代もどんな業種でも結果を残す営業スキルを伝授します。
「なぜ、社長は採用を決めたのか?」がわかると、
トップセールスの道が見えてくる
とある企業の社長に人材教育カリキュラムを紹介していた私。仕事で独立すること夢を見ていた社長である夫の話と夫を支えた妻の話を聞き、「夢は見るものでなく、実現するもの、行動するもの」という言葉に目頭を熱くする。いち営業マンの心の中に芽生えたのは、「この素晴らしい社長に自分も何とかお役に立ちたい!」という気持ちだった。これがこの人のためにお役に立ちたいという「純粋な動機」だったのです。
その気持ちが湧き出た私は、さらに質問を続けました。
「いや、社長のお話に感動しました。現状はどんな感じですか?」
その現状を聞かせていただき、次のような質問をしました。
「教育については、どのようなことをやっておられるのですか?」
社員教育についてもお話ししていただく中で見えてくるものがありました。教育でやっていないことがあり、その部分が重要で、自分ならお役に立てるという気持ちでした。私はさらに質問をしていきました。
さらに、社長の話を聞いている間に、私の中で、これなら絶対に私どもの教育がお役に立つことができるという確信と、私どもの商品・サービスをぜひお役に立ててほしいという純粋な動機が生まれてきたのです。
最初は、お会いした社長に対してお役に立ちたいという純粋な動機でした。そして、2つ目は商品・サービスでお役立ちできるという純粋な動機。その感覚は、ちょうど、やかんでお湯を沸かして、ぐらぐら煮詰まり、そして、噴き出してくる感覚でした。
2つの純粋な動機が湧き上がり、一緒になったときに、私の心の中のやかんは、ピーッと音を出して、噴きこぼれたのです。湧き上がった感情を社長にぶつけるとびっくりされるだろうと思い、静かに声を抑えて次のように言ったのです。
「社長、私どもにいいものがあります。採用されませんか?」
そうすると、社長はびっくりすることに、次のように言われたのです。
「そうだね」
私が「びっくりすることに」と言ったのには理由があります。社長のお話を聞かせていただいて50分ほど経っていました。その間に仕事のことを話したのは、最初の名刺交換時の約1分間でした。
事前に資料をお送りしていましたが、その資料はほとんど読まれていないことも最初に確認しています。にもかかわらず、私が、「社長、私どもにいいものがあります。採用されませんか?」と言ったら、「そうだね」と答えてくれたのでした。
そして、さらに社長は、私に次のように言われたのです。
「ところで、青木さん、一体何やるの?」
「あー、社長、そうでしたね。まだ、何も話していませんでしたね」
「そうだね」
「じゃ、具体的にお話しさせていただきますね」
このように、次の言葉で私自身もまだ、社長に何も話していなかったことを思い出したくらいなのです。
そこで、初めて私はカバンを開け、中からパンフレットを取り出し、説明したのです。ただ、このときには、すでに社長のお話を事細かに聞いています。今の教育についての欲求・ニーズ、そして課題を十分に聞いていました。したがって、商品に関しての余計な部分は省き、役立つ部分のページをさっと開けたのです。