米景気が回復する中、米銀が提供する融資枠のうち、企業向けの未使用分が記録的な水準に達している。新型コロナウイルスに絡む特殊要因が影響しており、銀行側では、これまで先送りされていた資金利用が今後活発化するとみている。銀行幹部によると、顧客企業の間ではここ数カ月、在庫や労働力、事業拡大向けにすぐに使用可能な資金の融資枠への要請が増えた。ただ、企業はまだ実際には融資枠から資金を引き出して銀行口座に移しているわけではない。既に潤沢な現金を抱えているほか、サプライチェーン(供給網)を巡る問題や労働力不足により、資金を使いにくい状況にあるためだ。一方、銀行側では最近の動きについて、企業が支出拡大を計画している証拠とみている。そうなれば、景気を大きく押し上げる可能性がある。