五輪のアーティスティックスイミング会場にぞっとするような声が響き渡った。かつてシンクロナイズドスイミングと呼ばれた競技の美しさや輝きとは正反対なものを予感させる瞬間だった。デュエットのオーストリア組は「Evil Dolls(不吉なお人形さんたち)」という名のメドレーで演技を行ったが、ホラー映画「シャイニング」で幽霊の双子の女の子が遊びに誘うフレーズを採り入れた。この映画に出てくるホテル同様、会場もがらんとしている。オーストリア組のアナマリア、アイリニ・アレクサンドリ姉妹は同映画を見たことはないと言う。「人々を驚かせるべきだと思った。特に、コロナで延期された後には。私たちがこんなことをするなんて誰も予想していなかった」とアイリニ選手は話す。二人は2016年のリオ五輪では「白鳥の湖」で演技を行った。