新型コロナの感染拡大のみならず、豪雨、熱海の土石流など、今年も日本にはさまざまな災害が発生している。災害時に大きな不安を抱えるうちに心身に不調が表れた……という人もいるだろう。検査をしても原因不明のその症状は、災害と深く関わっている可能性があるという。『災害不調』の著者・工藤孝文氏に聞いた。(清談社 真島加代)
直接被害に遭わなくても
心身不調になる恐れ
めまいや頭痛、肩こりがひどく夜も眠れない……あなたが感じている体調不良の原因は“災害”にあるかもしれない。
「私は、災害をきっかけに発症する心身の不調を“災害不調”と呼んでいます。頭痛や耳鳴り、のどのつかえなど体に症状が出る人もいれば、過度のイライラやうつ症状など精神症状が表れる人もいます」
そう話すのは『災害不調』(角川新書)の著者で、福岡県みやま市工藤内科の院長・工藤孝文氏だ。
「心身にさまざまな不調を感じて大きな病院でCTやMRIを撮ったり、胃カメラを飲んだりしても異常が見つからないのが、災害不調の特徴です。なかには、10年以上もドクターショッピングをして当院にたどり着いた患者さんもいます」