アフガニスタン政権の崩壊と反政府勢力タリバンの権力掌握を受けて、世界各国でアフガンの混乱と治安悪化による影響が近隣諸国に波及しかねないとの懸念が高まっている。大量の難民が欧州に押し寄せるとの不安もくすぶる。底流には、20年近く駐留していたアフガンから早急な撤退を強硬した米国への批判がある。米国は、米軍の支援なしで存続できる安定政権をアフガンに樹立することができなかった。アフガンと国境を接するパキスタンは、大量の難民が押し寄せることを警戒している。同国ではすでに、これまで暴力を逃れてきたアフガン難民300万人前後が暮らす。タリバン指導部は2001年の米国主導のアフガン侵攻で政権から追われて以来、パキスタンを拠点としており、パキスタンはタリバンに最も大きな影響力を持つ国だと考えられている。だが、パキスタンはタリバンを支援しているとの見方を否定している。