中国の寧波・舟山港の大規模コンテナターミナルは、新型コロナウイルス感染者1人の発生で操業を停止してから1週間たっても、なお閉鎖状態にある。年末商戦を控えた欧米市場向けの荷積みのために、ターミナルには数十隻の船が順番を待っている。寧波の梅山コンテナターミナルが月内に完全再開することはないとみられている。その影響は上海や香港など、運航大手が寧波から船を迂回(うかい)させた先にも波及している。混乱はアジア・欧州航路や太平洋横断航路の港の混雑を招くなど、雪だるま式に膨らみ、物流を一段と減速させる恐れがある。米ウォルマートやアマゾン・ドット・コムのような小売り大手から個人業者に至るまで、貨物の所有者にも打撃を与えることになる。小売業者は年末商戦に向けて在庫を補充する中、配送の遅れや輸送コスト上昇への対応を強いられかねない。