米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長はちょうど1年前、10年にわたる低成長・低インフレを受けて、低金利政策の長期化につながる新たな金融政策の枠組みを発表した。だが現実は、インフレ率が数十年ぶりの水準に跳ね上がるという想定外の課題をパウエル氏に突きつけた。7月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比5.4%上昇した。パウエル氏が今週出席するカンザスシティー連銀主催の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)では、足元のインフレ加速がどの程度続くのか、またFRBはこれにどう対応すべきかが議論の中心になる見込みだ。新型コロナウイルス変異株「デルタ型」の感染拡大が景気回復を脅かす中、パウエル氏は目下、FRB内の意見対立と外部からの批判の双方に取り組んでいる。