メルセデスAMGが
1000万円の車を1500万円で売れるワケ

山口 萌芽は出ていたと言うか、本当に尾原さんの言うとおりで。

 例えば、メルセデス・ベンツのチューニングメーカーで、AMGってありますよね。AMGはベンツの高級バージョンで、ベンツはただでさえ高いんですが、そこに1.5倍のプレミアムをのっけて新車を売っているわけです。

 具体的に何をやっているかと言うと、AMGで新車を買うと、職人がエンジンを組み立てているときの、全工程のビデオがもらえるんです。

尾原 え! すっげー。それって、あなたのAMGの…?

山口 そう、あなたのAMGを組んでいるところです。

尾原 うわ、やべー。子どもが生まれる瞬間だ、それ。

山口 マイスターが組んでいて、そのマイスターのサインで、「責任を持って組んだから、どうぞ楽しんでください」っていうレターが付いてくるんですよ。

 で、僕が「これはやっぱり意味なんだな」と思ったきっかけがあって。

 ベンツで言うとAMGがあって、BMWで言うとALPINAというのがあるんですよね。ALPINAは昔、チューニングメーカーとして名が知られてきたときは、BMWの工場で組んだエンジンをいったんバラして、職人がもう1回ゼロから組み直していたんです。

 微妙な擦り合わせとかがあるから、職人が組んだほうがいいんだけど、実際には、今は量産メーカーの組み立てラインもロボットの精度がすごく上がっていて…。

尾原 そうですね。ロボットの精度が上がっていて、本当に細かいところまでできるようになってきているから、そこに機能的差異があるのかと思いますよね。