マッキンゼー、Google、リクルート、楽天など、14もの職を経て、現在はシンガポール・バリ島を拠点にリモートで活動するIT批評家の尾原和啓氏。2021年7月に発売された最新著書『プロセスエコノミー 』には、発売前から予約が殺到し、Amazon総合ランキング1位に。本のタイトルである「プロセスエコノミー」という言葉がメディアで紹介されるなど、注目を集めている。本書の刊行を記念して、著者の尾原和啓氏と、『ニュータイプの時代』など数々のベストセラーをもち、“これからは「役に立つ」より「意味がある」ことに価値がある”と提唱したことでも話題となった、山口周氏との対談が行われた。今回は、2020年には対談本『仮想空間シフト』を出版した2人が、「人はなぜ、プロセスを知りたいのか?」「プロセスには人を引きつける何かがあるのか?」という疑問の理由を分解していく。
■尾原和啓×山口周 対談01回目▶「役に立つ」では生き残れない!これから必要なのは「意味」である理由
■尾原和啓×山口周 対談02回目▶本当のイノベーションは、いつも遅れてやってくるワケ
■尾原和啓×山口周 対談03回目▶BTSの世界的成功は必然?これからは「プロセスエコノミー」が必須のワケ
人はなぜ、「プロセス」にお金を払うのか?
山口周氏(以下、山口) 例えば、好きなミュージシャンのメイキングがあって、袋小路に入って動きがない状態も含めて記録されている。「これ、なんかずっと同じところで止まってるな、というところまで含めて見たい」というのは、いったいどういう欲求に根ざしているんだろう?と思うんですよね。結局人がお金を払うものって、根源的に何らかの欲求に根ざしているわけじゃないですか。
尾原和啓氏(以下、尾原) そうですよね。
山口 その欲求って、人間って200万年くらいほとんど進化していないから、もともと持っているものだと思うんです。脳の中でどういう状態になると、ホルモンが出るとかそういう話なので。