新型コロナウイルスで感染力の強い「デルタ株」がアジア全体で猛威を振るっていることが、東南アジアなど新興国債券市場の足かせとなっている。ワクチンの接種が遅れている東南アジア諸国では足元で感染者が急増しており、債券スプレッドが拡大している。各国の政府はロックダウン(都市封鎖)や対人距離の確保などの制限措置を再び導入しており、景気回復を阻害している。インドネシアおよびフィリピンのドル建て長期国債と米国債との利回り差(スプレッド)は5月半ば以降、0.3~0.6ポイント開いた(ファクトセット調べ)。マレーシアのドル建て国債のスプレッドも拡大している。3カ国はいずれも投資適格級の格付けを付与されており、年限20年以上の国債利回りは現在、2.7~3.5%のレンジで取引されている。