最終的な分析として、新型コロナの変異ウイルス「デルタ株」は経済を大きく阻害しなかったとの結論に落ち着く可能性は十分にある。それどころか、ワクチン接種の進展やブースター(追加接種)の普及、いずれ承認されるとみられる子ども向けのワクチン接種により、経済は右肩上がりの改善を遂げるかもしれない。そうなった場合、米連邦準備制度理事会(FRB)にとっては、少なくとも利上げの選択肢を確保するため、量的緩和の縮小(テーパリング)に着手していた方が望ましいだろう。しかしながら、ジェローム・パウエル議長の立場からすると、27日の講演――わずか1週間前までワイオミング州ジャクソンホールでのカンザスシティー連銀主催の経済シンポジウムは対面形式で行われるはずだったが、デルタ株流行への懸念でオンライン開催に切り替わった――で、テーパリングを確約するメッセージを発することは奇妙な行動になるだろう。そのためパウエル氏はそうはしなかった。
FRBに選択肢残したパウエル氏、余地には限り
不透明感は残るが、投資家は11月のテーパリング開始に備えるべし
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