米国務省のある高官は先週末、アフガニスタンの新たな支配者となったイスラム主義勢力タリバンが、過激派組織「イスラム国(IS)」による新たなテロを抑え込む意志と能力を持っているか、と問われた。IS系勢力はカブール空港で米軍兵士13人を殺害したばかりだ。高官はこう答えた。「意志はある。能力については疑問があると思う」つまりタリバンは、ISの戦闘員や他のイスラム過激派によるアフガン国内での殺人行為の抑止を、実際に望んでいる可能性が高い。ISはタリバンにとって不俱戴天(ふぐたいてん)の敵だ。しかし、タリバンがこうした約束を守る能力を持っているかどうかについては大きな疑問符が付く。それは米軍のアフガン撤退に関する最大の皮肉を浮き彫りにする。アフガン撤退で期待されるのは、米国民がようやくアフガンのことを忘れられるということだ。しかし現実には、アフガンについて再び懸念しなければならなくなっている。