完全なリモートワークの継続を望む声があるからといって、そうなるわけではないだろう。ビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」を運営する米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズが発表した直近の決算は、まさにその好例と言える。5-7月期の売上高は市場予想を上回ったものの、ズームにはもはやセールスポイントがない。研究・開発費は前年同期と比べ倍近くに跳ね上がり、売上高に対する販売宣伝費の割合も増加した。追加投資をよそに、通年の売上高成長が大幅に減速することを同社の見通しは示唆している。決算発表直後の時間外取引でズームの株価は11%下落した。今後も在宅勤務を毎日続けるつもりなら、それはぜいたくな選択かもしれない。企業は従業員に対し、勤務の一部もしくは全てをオフィスで行うよう求め始めている。全米経済研究所(NBER)が4月公表した調査報告書では、新型コロナウイルスの流行が収束した後、在宅勤務は就業日数全体の20%を占めると予想されており、前回の5%から増加している。