新型コロナウイルスの感染拡大で突如リモートワークの予期せぬ大実験が始まり、人々の働き方が劇的に変わったのは間違いない。多くの従業員はリモートワークで効率性や生産性が向上し、幸福感も高まった。その一方で、悪戦苦闘し、オフィスに戻りたくてたまらない従業員もいた。オフィスへの復帰が現実味を増すなか、マネジャーはともすればこの1年半を異常事態と捉え、過去のこととして忘れるのが最善策だと考えがちだ。あるいは、緊急対応で導入したやり方の一部を永続的に職場に残そうと考えるだろう。だがいずれも危険な考え方だ。もしリモートワークで得た教訓のいくつかを上司が無視すれば、空っぽのオフィスがいつまでも続くことになるかもしれない。その理由はコロナではなく、憤慨した従業員が新たなニーズに応える別の会社に転職するからだ。