他臓器にダメージなく副作用も少ない
人によっては驚くべき効果

Q:PSMA治療は安全なのでしょうか。また、どのような効果がありますか。

 PSMA治療は他の臓器にダメージを与えず、副作用が少ないため注目されています。ドイツやオーストラリアで治療がスタートし、米国で承認されています。日本では放射性物質の取り扱いに関する法的制限があり、現在まで承認されていません。

 前立腺がんは、局所にとどまっていれば放射線や手術で多くの方は治癒可能ですが、骨などに転移すると、標準治療としてホルモン治療や抗がん剤治療が適応されます。一定の治療効果は期待できますが、治療抵抗性になると非常に難しい状況になります。

 PSMA治療は、治療の選択肢が限られてきた去勢抵抗性前立腺がんの患者さんの余命を半年以上延ばす可能性があり、抗がん剤治療が難しい患者さんやご高齢の方も安全に治療ができます。常に効く魔法の治療ではなく、人によっては残念ながら効かない場合もあります。しかし、人によってはときに驚くべき著しい効果が出ていることも事実です。

 前立腺がん細胞が根治するわけではないですが、何もしないと上がってしまう腫瘍マーカーPSAが低いレベルで推移する効果が期待できます。治療の引き出しが無くなり、追い詰められた前立腺がん患者さんにとって待望の治療、希望の光であるといえるでしょう。