米国のアフガニスタン撤退は悲劇的な結末を迎えている。これは戦略面でも決定的な意味合いを持つ。「終わりなき戦争を終わらせる」というスローガンの背後には、米軍撤収の影響がアフガンのみにとどまるという大きな判断ミスがあった。しかし反対に、この退却は米国の主要な(そして誠に遺憾な)戦略上の再編成となる。われわれと世界中で敵対する中国とロシアはすでに得点を得ようと狙っている。両国をはじめとする多くの勢力は、アフガンを見捨てたことについて、単に世界的なテロリストの脅威に対する直接的影響だけでなく、米国の世界全体における目的や能力、決断力に関してそれが何を表すのかという観点で判断している。ごく短期的には、アフガンで生じる危険とチャンスの両面に対応するため、中国はすでに大きいパキスタンでの影響力をさらに拡大しようとし、ロシアは中央アジアの旧ソ連圏で同じことをするだろう。また両国は中東で進めている取り組みを加速させ、多くの場合、イランの協力を得るだろう。ホワイトハウスがこうした脅威のいずれかにも対応する準備を整えている証拠はほとんど見られない。