米国への評価はアフガニスタン撤退の失敗で損なわれたが、その打撃をさらに大きくするのが、撤退を指示した米政府が国防予算の実質削減を推し進めようとしているという事実だ。それは、米国が世界の安全保障への関与から撤退しつつあるというメッセージになってしまう。行政府が外交政策で失敗した際には、時として議会が方向性を正す役割を担うことができる。上院軍事委員会は今夏、ジョー・バイデン米大統領が示した7150億ドル(約78兆8000億円)の国防予算案に、250億ドルを上乗せした。これによって、当初案で前年度比名目1.6%増だった予算は、同5%増に変わった。これでも不十分だが、少なくともインフレ率を上回る伸び率にはなった。