世界各国の政府が二酸化炭素(CO2)排出権取引の市場拡大を目指す中、大手エネルギー取引会社はCO2取引事業を強化している。各社は従来、石油や天然ガスなど、規模が大きく変動の激しい市場を軸としていた。世界大手の石油企業である英蘭系ロイヤル・ダッチ・シェルと英BPは、欧州のCO2市場が比較的発達していることも追い風に、既に大きな排出権取引部門を有する。鉄鋼メーカーなどCO2を大量に排出する企業は排出権を受け取り、欧州の排出量ガイドラインを満たすために排出権を追加購入できる。排出量が上限を下回った企業は、余った排出権を売却することができる。トレーダーはこれらの取引を仲介し、炭素価格のわずかな変動からでも利益を得ようとする。時には価格の方向性に賭けることもある。データ会社リフィニティブによると、欧州の他、米カリフォルニア州やニュージーランドなど小規模な市場を含む世界の炭素市場は昨年、23%成長して2380億ユーロ(約31兆円)に達した。