いまこそ、「三方よし」のビジネスを!
昨今、企業のCSR活動はとても盛んで、それを理由に株式の購入を検討する人がいるのは前述の通りです。けれど、CSR活動を通じて企業が社会にインパクトを生みだしているのに、「株式購入を通じて社会貢献をしている」という考えを持つ株主が多いようには、僕には思えません。CSR報告書を発行している企業が多いにもかかわらず、です。これって、非常にもったいない話だと思いませんか?
企業で働く人たちが仕事を通じて誰かの役に立ちたいと思っている(第2回参照)ように、企業に出資する人も社会に貢献している企業を応援したいと思っている。そしてCSRに取り組む企業も多い。ならば企業だって「社会におけるインパクト」というもう一つの成果指標を、四半期ごとの収支報告と同じように前面に打ち出してはどうでしょうか?もっと情熱を持って「うちの会社は社会にこんなインパクトを生んでいる」と株主に語りかけるのです。
そのためには、企業はもっと社会貢献を本業と絡めて考える必要があるのかもしれません。通常、企業においては「社会貢献」は「CSR」という言葉でくくりだされていますが、僕はこれに違和感を持っています。よく言われる近江商人の「三方よし」ではないですが、古くから日本の商活動は「売り手」「買い手」「世間」から成り立っていると考えるなら、社会貢献活動も本業の一部としてとらえるべきではないでしょうか。
そうすれば本業で成功することが社会へのインパクトを大きくすることにもつながり、それが社員のやる気を高めることにもつながる。当然、収益も伸びるだろうし、株主価値の増大にもつながる。こうした循環があらゆるところでWinを生み出すことにつながるのではないでしょうか。
※本連載は全6回を予定しています。次回(第6回、最終回)は、11月27日(火)に配信予定です。
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