おかげさまで拙著『社会貢献でメシを食う。』が4刷りとなった。この本が発売されたのはちょうど2年前のことで、こうやって増刷を重ねることができたのも、多くの支援のおかげである。感謝したい。

 たとえば、この本を読んだ一橋大学や慶應大学大学院の学生たち。彼らは自分たちのキャンパスでセミナーを開いてくれた。また、企業や中央官庁の関連部署で必読書に指定していただいたりもした。こうした多くの方の共感と支援にうれしく感じたが、書き手として最もうれしかったのは書店員からの評価をいただいたことだ。

 それは、今年3月に閉店したジュンク堂新宿店の店員さんたちからのもの。彼らが閉店前に「最後くらい、自分たちが本当に売りたい本を売ったっていいじゃないか!」というフェアを開催し、その中に拙著も加えていただいたのだ。

 また、10月1日からは、ブックファースト渋谷文化村通り店にて、「これからの働き方を考える」というテーマでフェアも開催されていて、拙著もそのラインナップに選ばれている。ここでもうれしいことに、書店員さんが選んでくださったそうだ。今月いっぱい、10月31日まで開催されているので、渋谷にお立ち寄りの際はぜひのぞいてみてほしい。

進化を続ける社会貢献業界

 この2年で社会貢献業界も大きく変わったが、この本が伝える本質的なことはまだまだ古くはなっていないと自負している。しかし、ケースとして本書で取り上げたなかには、大きく成長した社会起業家や団体も多い。

 途上国の少女の夢を叶える「ドリーム・ガールズ・プロジェクト」を推進する温井和佳奈さんは、「Asia Social Innovation Award 2011」を受賞。第59回で紹介した「筆者が勝手に選ぶ社会貢献アワード2011」の大賞にも選ばせていただいた。また、向田麻衣さんが主宰する化粧品を通じた社会貢献活動「Coffret Project」も着実に大きくなっている。

 ミス・キャンパスの社会貢献団体「Sweet Smile」も活動を続けており、この9月には「2011年ミス東洋大学」の相澤遙佳さんが3代目代表に就任した。相澤さんは初代代表の山崎ひな子さんに憧れて、Sweet Smileのメンバーになるためにミス・キャンパスになったという。学生団体は継続が難しいが、このように「想い」がつながっている姿を見るとやはりうれしくなる。

 CSRを巡る状況も大きく変わった。この本では、「CSR3.0」=「本業とCSRの統合」という概念を提唱した。当時はわりと新しい概念を打ち出したつもりだったが、たった2年でCSR3.0はメインストリームになりつつあると思う。CSR3.0の代表的施策として紹介したBOPビジネスも、いまでは大企業から中小企業まで、次なる成長戦略として多くの企業が取り組んでいる。また、昨年はマイケル・ポーターがCSV(共通価値の創造)という概念を打ち出し、欧州委員会はヨーロッパ経済成長の核としてCSVを最大化すると政策決定した。僭越ながら、筆者からすればCSR3.0とCSVはほぼ同義である。