1年前の大坂なおみがどのような状態だったか、考えてみてほしい。完全にコントロールできているように見えた。米社会は困難な状況に見舞われていたが、大坂はそれに立ち向かうことを、議論と怒りの両方に関わることを選んだ――警官に殺害された黒人被害者の名前を世の中が決して忘れないようにするために。試合ごとに被害者一人一人の名前が記された異なるマスクを着用して会場に現れた。それだけではない。大坂は自身のテニス人生でベストと言えるプレーをしていた。驚くべきテニス。容赦ないテニス。波乱の今シーズンでは、大坂らしさが失われている――本来なら、パワーとスキルの破格のコンビネーションに加え、雑音に耳を貸さずプレーに集中する驚くべき能力を兼ね備えている素晴らしいプレーヤーだ。
大坂なおみの今とこれから
「完全なコントロール」ができる人などいない
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