『独学大全──絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』が20万部を突破! 本書には東京大学教授の柳川範之氏「著者の知識が圧倒的」独立研究者の山口周氏「この本、とても面白いです」と推薦文を寄せ、ビジネスマンから大学生まで多くの人がSNSで勉強法を公開するなど、話題になっています。
この連載では、著者の読書猿さんが「勉強が続かない」「やる気が出ない」「目標の立て方がわからない」「受験に受かりたい」「英語を学び直したい」……などなど、「具体的な悩み」に回答。今日から役立ち、一生使える方法を紹介していきます。
※質問は、著者の「マシュマロ」宛てにいただいたものを元に、加筆・修正しています。読書猿さんのマシュマロはこちら

「会話が続かない」と悩む人が知らない雑談の本質Photo: Adobe Stock

[質問]
 友達と会話が続かずきまずい雰囲気が流れてしまいます

 大学1年です、友達と会話が続かずきまずい雰囲気が流れてしまいます。コミュニケーション力向上の為にコミュニケーション本を借りたり、話す内容を頭の中でシュミレーションしましたがうまくいかず結局自己嫌悪してしまいます。

 何か良い方法はありませんでしょうか。

相手の質問に「YES/NO」で答えていませんか?

[読書猿の回答]
 これだけでは問題が分からないのですが、おそらく努力の方向が違います。会話で重要なのは話題提供者でなく、レシーバー(受け取り手)です。

 日常会話は、一言で言えば漸進的(少しずつ進める)自己開示です。互いの自己開示を進める(リ)アクションは会話を続けさせ、逆に自己開示の機会を奪う(リ)アクションは会話を中断させます。

 互いに相手の自己開示を促進させ続けるなら、会話は続いていきます。相手の自己開示を促進するアクションは、

1.こちらの自己開示
2.相手についての質問
3.相槌

 です。

1.こちらから自己開示すると、互酬性により、相手も自己開示しやすくなります。
2.相手に質問すると〈あなたに興味を持っています〉というメタメッセージが提示され、相手の自己開示が促されます。
3.相槌は〈あなたの話を聞いています/興味を持っています〉というメタメッセージとなり、相手の自己開示が促されます。

 逆に、一方的で過大な自己開示は、相手が応じられないレベルとなって、相手の自己開示を阻害します。相手が答えにくい/答えたくない質問も、相手の自己開示を無視したかのような応答も、同じく、相手の自己開示を阻害し、会話を続かなくさせます。

 このフレームに当てはめてみると、相手の質問にイエス/ノーで答えることが、いかに会話を切断するかが分かります。

「ゲームはやりますか?」
「やりません」
「……」

 加えて、この破壊的応答を改善するヒントも得られます。

「ゲームはやりますか?」
「やったことないんです。何かおすすめはありますか?」

と相手への質問を添加することで、相手の自己開示の機会を開き、会話が継続する可能性を残すことができます。