インターネットの「知の巨人」、読書猿さん。その圧倒的な知識、教養、ユニークな語り口はネットで評判となり、多くのファンを獲得。新刊の『独学大全──絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』には東京大学教授の柳川範之氏「著者の知識が圧倒的」独立研究者の山口周氏「この本、とても面白いです」と推薦文を寄せるなど、早くも話題になっています。
この連載では、本書の内容を元にしながら「勉強が続かない」「やる気が出ない」「目標の立て方がわからない」「受験に受かりたい」「英語を学び直したい」……などなど、「具体的な悩み」に著者が回答します。今日から役立ち、一生使える方法を紹介していきます。(イラスト:塩川いづみ)
※質問は、著者の「マシュマロ」宛てにいただいたものを元に、加筆・修正しています。読書猿さんのマシュマロはこちら

9割の人が知らない「いつも話がつまらない人」に欠けている本質Photo: Adobe Stock

[質問]
 ユーモアセンスを身につける(考える)上で手助けとなる本はあるでしょうか

 私はユーモアのセンスがなく、友人と喋っているときにジョークを言ったつもりがスルーされたり、スべることがしばしばです。会話で相手を楽しませることができない自分に不満を感じているのですが、ユーモアセンスを身につける(考える)上で手助けとなる本はあるでしょうか。

また、ユーモアについて、読書猿さんの考えなどがもしあれば教えていただけると幸いです。

あなたに欠けているのはユーモアのセンスではなく余裕です

[解答]
 笑わせることに失敗する人間に欠けているのはユーモアのセンスではなく余裕です。誰かに弄られて他人のネタに使われることを受け入れる余裕、自分の持ちネタを出すのを控えて他人にゆずる余裕、そして人の話を聞く余裕です。

 周囲の人間の立場から言えば、人を笑わせようと躍起になっている人間は扱いに困ります。頑張っているのは分かるだけに何とかしてあげたいのですが、正直持て余します。

 日常会話はあなたの独演会ではありません。

 その人が居ると集まりが笑いで絶えないという人を見ると、その人自身はほとんど面白いネタを話していません。むしろ他の人の何でもない話に乗っかり膨らませて楽しい話にして楽しく話させるのを手伝っています。「◯◯さんと話すと会話が弾んで楽しい」と。

 実はつまらないネタで笑いを取る手段はないではありません。それは普段は面白いこと一つ言わず、人の冗談を真顔で文字通り解釈する、徹底したクソ真面目人間になることです。真面目キャラが定着すれば、いつもなら言わないことなら何でも、どんな寒いネタもひどいダジャレも爆笑必至です。

参考文献をあげておきます。
初級『コミュ障は治らなくても大丈夫』
準中級『イラスト版子どものユーモア・スキル』
中級『なぜ、あなたの話はつまらないのか?』
理論『らくごDE枝雀』