帰国子女や留学経験がなければ、英語は身につかない…そう思っている人も多いだろう。しかし、そんな経験がなくても大人になってから英語を使いこなすビジネスパーソンは増えている。今回は、トヨタ自動車のレクサスブランドマネジメント部グローバルブランディング室のグループマネージャーとして社内外ともに完全英語環境で働いていた、岡澤陽子さんにお話を聞いた。岡澤さんは、海外で生まれ育っていたり、長期で留学をしていたりなど、特別な英語に対するアドバンテージは持っていない。そんな彼女が、どうやって英語環境になじみ、苦労を抱えつつ、奮闘していったのか。いつかはグローバルに仕事をしたいと考える人にとって、地に足の着いた情報をお届けする。(大人の英語習得法リサーチャー 高野美穂)
ビジネスメールってどう書くの?
Dear……とだけ書いて固まるところからのスタート
岡澤さんに、初めて、ビジネスで海外とのやり取りが発生したのは、入社2年目。車は、常に生活に密着しているため、ライフスタイルや価値観の変容にも敏感である必要がある。そこで、グローバルでライフスタイルを調査研究するという名目でチームが編成され、日米欧間でのコミュニケーションが発生したのだという。
「グローバル環境で仕事ができるという楽しさもつかの間、ここまで科目としての『英語』は結構勉強してきたはずなのに、いざ英文でメールを書こうと思うと、Dear…から先が、本当に書けないんですよ。当時は、ちょうど近くに英語に苦労した先輩がいらして、その方が部署のトーンに合うフレーズ集を個人的に収集されていたので、そのお手本集を借りてなんとかメールを書いていました。
また、メールというのは書くと返事が来ますよね。それが、お手本の宝庫で。先輩からのノートも大変助かったのですが、やっぱり他人がまとめたものというのは、ちょっと使いづらいので、手法だけをありがたく拝借して、私も自分のフレーズ集を作り上げていくようになりました」
英語のメールは定型文も多く、日本語と比べて短いため、パズルをはめるように、こなせるようになってくる。
こう聞くと、順調に英語を使いこなせているようにもみえる。しかし、英語に慣れてきた頃、岡澤さんは、多くの英語学習者と同様にコミュニケーションの壁にぶつかった。