シンガポールは今月、新型コロナウイルス対策で節目を迎えた。ワクチン接種完了者が人口の8割を超えたのだ。だが政府は、節目越えに連動する経済再開計画の実施に待ったをかけた。  前回、制限措置の一部を解除したことで、1日当たりの新規感染者数が数百人まで増え、病床不足の懸念が高まっているためだ。  ワクチンの普及は待望の正常化をもたらすはずだった。だが厳格な対策の徹底でウイルスを封じ込めてきたアジア・太平洋諸国にとって、ワクチン接種後の世界に足を踏み入れることは一筋縄では行かない。