デルタ株流行でもフロリダへ、今年は増える避寒客Photo:Mark Brown/gettyimages

 例年であれば数週間後には多くの避寒客が南に向かって移動を始める。しかしフロリダやアリゾナなど気候が温暖な地域で新型コロナウイルスの感染者数が増加していることから、旅行計画を考え直す人もいる。一方で、今年こそ太陽の下で冬を過ごそうと決めている人もいる。

 ロバート・スラックさん(79)と妻のロイスさんはカナダ・オンタリオ州にある自宅から米国のフロリダ州ウィンターヘイブンまでの約2200キロ超の距離を車で移動するつもりだ。2人ともコロナワクチンの接種は完了していて、ガソリン給油時に使うゴム手袋も用意してある。

「昨年は何もせず、雪が降るのを眺めていた」とロバートさんは話す。新型コロナの変異株「デルタ株」は心配だが、夫妻は来月末までには感染率が下がることを期待している。新型コロナ関連の医療費を最高500万ドル(約5億5000万円)まで補償する旅行用医療保険にも追加で加入した。フロリダでもマスクの着用を続けるとロバートさんは話した。

 デルタ株による感染が広がっているにもかかわらず、多くの人が南の暖かい地域で冬を過ごそうとしている。その多くはワクチン接種を済ませた人たちだ。例年、カナダから避寒地に向かう推定100万人のうち、今年は暖かい地域に移動するという人は約9割に上り、昨年の3割から増加した。米国が陸路による不要不急の入国について制限を解除することが前提だが、制限は期限の今月21日以降も延長される可能性がある。

 米国の北中西部からの避寒客に人気のテキサス州では、各地のトレーラーハウスパークが歌手やダンサー、コメディアンなどと出演契約を結んでいる。