コロナ、ワクチンと向き合う開業医が語る政府の「失敗」とウイルスの歴史(上)Photo:PIXTA

インフェクションコントロールドクター(感染症や感染制御、院内感染対策を専門に取り扱う医師)として数十万人に新型コロナウイルスのワクチン接種をしたMYメディカルクリニック(東京都渋谷区)の笹倉渉院長に話を聞いた。前半では、政府のワクチン調達や配布の問題点を語ってもらった。(聞き手・構成/医療・健康コミュニケーター 高橋 誠)

インフルの実績でコロナワクチンも実施

Q:自宅療養者が急増し、13万人を突破しました(9月4日現在)。MYメディカルクリニックではコロナ医療にはどのように向き合っていますか。

 PCR検査とワクチン接種を積極的に行っています。昨年6月、クリニックとしては日本で2番目に早くPCR検査を始めました。渋谷駅徒歩3分という土地柄、多くの患者さんを診ています。患者ニーズに応えるために、まだどこもPCR検査に手を挙げていないうちから、いち早く申請していました。

 ワクチン接種は今年5月からスタートし、足立区、新宿区、国立市など自治体からの依頼を中心に、クリニック内や職域接種を含めて累計数十万人以上をこなしました。もともとインフルエンザ予防接種で毎年数十万人の実績がありましたので、そのご縁の延長で、コロナでもワクチン接種をいち早くスタートできました。

Q:8月27日、東京都は貴院から徒歩すぐの渋谷で若者対象にワクチン接種会場を設け、長い行列ができました。感染者が急拡大中の若者にワクチン接種が行き渡らない現状をどのように見ていますか。

 綾瀬はるかさんら芸能人や有名人の感染から、若者はコロナを身近な危機と感じており、接種に前向きです。

 東京都では先着順から抽選、さらにLINEでの受付へとシステムを改善し、都庁や乃木坂に会場を増やし、大学での接種もスタートしました。それでも、希望する全ての若者にいまだにワクチン接種が行き渡らない現状は、ひとえにワクチン確保の問題とみています。