あと数年でがん患者数の1位になると予測され、急増する前立腺がん。国内未承認ながら海外で行われている治療法の現状を前後編でお届けする。前編では、こうした治療を受ける患者をサポートする一般社団法人セラノスティクス横浜の三木健太理事に、国内未承認の最先端医療「PSMA治療」の詳細を聞いた。(聞き手・構成/医療・健康コミュニケーター 高橋 誠)
西郷輝彦さんのステージ4前立腺がんに効果
日本未承認の最先端放射線治療「PSMA治療」
歌手で俳優の西郷輝彦さん(74歳)がステージ4の去勢抵抗性前立腺がん(注1)であることを自身のYouTubeチャンネルで公表しました。
「もう少しだけ好きな仕事をしたい。仕事に復帰し、同じ病と闘う皆様の希望になれば」との願いを込め、日本では未承認の最先端の治療を受けるため、今年4月末にオーストラリア・シドニーに渡航しました。合計3回、4カ月余りの間治療を受け、9月上旬に帰国する予定です。
8月22日、日本テレビ「24時間テレビ 愛は地球を救う」にシドニーから生出演した西郷さんは、「がんが消えた画像をこの目で見ました。奇跡は起こります。YouTubeで報告します。チャンネル登録をよろしくお願いします」と治療が進んでいる様子を伝えました。
西郷さんがシドニーで受けている治療は、去勢抵抗性前立腺がんの最先端治療「PSMA標的内用療法」(以後、PSMA治療)という日本未承認の治療です。
PSMA治療とは一体どのようなものなのでしょうか。シドニーの医療機関での治療をサポートする、セラノスティクス横浜の三木健太理事に伺いました。
(注1)去勢抵抗性前立腺がん:男性ホルモンを抑える治療をしているにもかかわらず、進行してしまった前立腺がん。