「怒っていいんだよ」社会現象になった『虎に翼』脚本家・吉田恵里香が不機嫌な女性を描く理由脚本家の吉田恵里香さん 写真提供:NHK

2024年に放送された朝ドラこと連続テレビ小説『虎に翼』(NHK)は従来の朝ドラ視聴者のみならず、新しい視聴者層に波及し、社会現象を生んだ。3月20日にスピンオフドラマ 「山田轟法律事務所」が放送されることを受けて、脚本家の吉田恵里香さんにインタビュー取材を行った。(ライター 木俣 冬)

「『虎に翼』を作った意義を感じています」

『虎に翼』の主人公・寅子(伊藤沙莉)のモデルは日本初の女性弁護士、初の女性判事となった三淵嘉子さん。合点のいかない出来事に寅子は「はて?」と疑問を呈し、納得がいくまで追及していく。

 2021年、「#わきまえない女」という言葉が女性たちに支持された。寅子はまさに「わきまえない女」として描かれた。おかしいと思ったことにはわきまえず声を上げる。そんな寅子を支持する声が、放送中、ネットにあふれた。

 あれから2年、脚本を書いた吉田恵里香さんに改めて聞いた。社会は変わったか。これから世界はどうなるのか。そして、『虎に翼』とは何だったのかーー。

「ありがたいことに『虎に翼』に背中を押され声を上げることができたと声をかけてもらうことが沢山あります。と同時に、あれから2年、同じ朝ドラ『ばけばけ』の主題歌の歌詞のように『日に日に世界は悪くなる』。本当につらいことが多いとも感じています。だからこそ、より声を上げざるを得なくなってきています。いま立ち上がらなければ自分たちのみならず次の世代も苦しむのは目に見えていて、それを止めたいという一心で活動している人たちがたくさんいます。それはある意味、地獄の道です。

 連ドラではでは寅子の盟友・よね(土居志央梨)が言う『どの地獄で何と戦いたいか決めるのはその人自身』(第113回)というセリフを書きました。

 放送終了後、誰かと会ったりお話しをしたりする機会があると、そのセリフに背中を押され、自分で自分の地獄を決めて、声を上げようといま頑張っています、というようなことを言ってくださるかたがいたり、社会活動のコミュニティを作りましたという声や、何かしらの権限を求める裁判などを起こしている最中で本当に心が折れそうなときにドラマを見られてよかったです、というような声をたくさん聞きました。

 ドラマを見て、自分ごととして、自分語りをしている感想をたくさんいただけることはとても幸せなことで、『虎に翼』を作った意義を感じています」