中国の習近平国家主席は次の課題として、経済面でこれまでで最も難しい離れ業に挑戦しようとしている。それは経済の崩壊を避けながら不動産バブルに穴を開けることだ。危険を感じ取るには、不動産大手の中国恒大集団(チャイナ・エバーグランデ・グループ)の状況を見てみるのがいいだろう。深圳市に本社を構え香港市場に上場している同社は、中国最大級の不動産開発業者だ。同社の負債総額は3000億ドル(約32兆9000億円)前後に上る。このケタ数はタイプミスではない。同社は債務の返済方法が分からないようで、返済計画を作成するため外部のアドバイザーを招き入れている。こうした事態が生じた背景には、習氏の経済戦略がある。その戦略とは、共産党による企業支配を強化し、貧富の格差を解消するというものだ。貧富の格差は、共産党自体が持っていると考える党の存在の正当性を損なうとみられているからだ。中国政府は昨年、この2つの目標達成に向けて不動産市場に対する新しい規制を導入した。