「顧客満足度300%」を前提にする
「それだけじゃ、顧客満足度300%は無理ちゃうの?」
新製品のアイデアが出たり試作品ができたりすると、僕は必ず聞いてみる。そう、ウチの会社の目標は「顧客満足度300%」。これまた、常識で絶対にたどり着けない数字だ。
小学生でもわかることだけど、顧客満足度は最大でも100%。実際には全員が100%満足することはまずないから、平均して80%か85%くらい行けたらいいほうじゃないかな。
だって、一人が「すごいわあー、100%満足やわあー」って言ってくれても、もう一人が「わるくないねんけどなあ、ま、50%くらいにしときましょか」って顔をしかめたら、平均すると75%に落ちてしまう。
常識の範囲で考えれば、100を超えることは絶対にない。でも、本当にそうかな。ここでも、ちょっと常識を疑ってみる。
ひと口に「顧客満足度」と言っても、その中身はさまざま。
たとえば、ウエットスーツを買ってくれた人が3人いたとしたら、
「着心地がええから、好きやねん」と言う人もいれば、「ぽかぽかしてホンマに温かいから、好きやねん」と誉めてくれる人もいる。それから、「タイムが速くなるから、好きやねん」と喜んでくれる人もいるはず。
実際、トライアスロンの選手の場合は、とにかく速く泳げればいい。ずっと動き続けてるわけだから、保温性なんかなくてもいいわけ。逆に海女(あま)さんみたいに長時間潜っている人にとっては、身体が冷えないこと、締めつけのストレスがないことが一番大事。さらにダイビングに使う場合は、アマチュアの人が着ることも結構ある。だから、何よりも安心感があるかどうかを気にする。