いつだって、正しいよりもツイてるほうが良いに決まっている。そして米連邦準備制度理事会(FRB)にとっても、高いインフレ率は一過性のものだとするFRBの見解にとっても、足元のインフレデータは大きなツキをもたらしている。だがデータを掘り下げると、そのツキがいかに簡単に消えうるものかが分かる。もしそうなれば、市場の静寂が一気に覆る可能性がある。注目されるコアインフレ率(変動の大きい食品とエネルギーを除く)は8月、前月比わずか0.1%の上昇にとどまった。現時点で、インフレ率は投資家にとって唯一の最重要指標であるため、これは良いニュースに思われた。残念ながら、その解釈はあまりにも楽観的だ。8月にインフレ率が落ち着いたのはただの偶然で、再び上昇してもおかしくない。