男性尾行と違う
女性尾行の怖いところ

 一般の方は「靴を見て尾行する」と答えるケースが圧倒的に多いですが、実際には対象者の全身です。全身から行動を予測し対象者の行動パターンを絞っていきます。大体尾行を開始して数十秒で対象者のほとんどのクセが分かります。しかしこれは男性に限ったことなのです。

 私は探偵になって尾行を重ねるうちに女性の恐ろしさを感じました。男性と同様の方法で女性を尾行すると、女性の場合、やけに後ろを振り返るのです。これは複数回、体験しました。

 尾行がバレることはなかったのですが、女性の方が感覚が鋭いのかと不思議に思い、師匠のレッドスターに聞くと「女性は背中に目があるんだ、だから女性を尾行するときはケツを見ろ!」と教えてくれました。冗談かと思いましたが、実際にやってみると女性が後ろを振り返らなくなりました。本当に不思議でした。これは探偵歴5年以上ぐらいの探偵あるあるだと思います。

 対象者が建物に入った際に探偵は必ず出入り口の確認をします。出入り口が1つなら基本的には出てくるのを待つだけです。しかし複数あった場合は潜入して対象者の尾行を続けます。もし対象者が女性だった場合は、探偵が男性だけだととても大変です。

 デパートなどは女性商品専用のフロアがあったりします。女性用の下着売り場に溶け込める男性探偵はほとんどいません。違和感そのものです。こういった状況では周りを気にしない「鈍感力」か、「妻や恋人のプレゼントを買いに来てるんだ!」という強いセルフマインドコントロールができるという特殊なスキルが必要です。

 尾行の距離感についてですが、都市部だと対象者から先行が大体5~10メートルくらい、後行は15~20メートルくらい距離を空けます。人や建物が減る郊外ではその2~3倍の距離を空けます。